工務店とハウスメーカーの違いは?特徴とメリット・デメリットを徹底解説

- 工務店とハウスメーカーって何が違うの?
- 住宅会社選びで失敗したくない…
- どっちがおすすめか教えて!
マイホームは、一生に一度の大きな買い物です。家づくりのパートナーとなる住宅会社選びは、絶対に失敗したくありません。住宅会社の中でも、多くの人は工務店かハウスメーカーで家を建てます。
この記事では、工務店とハウスメーカーの7つの違いを解説します。
- 対応エリア
- 価格
- 設計の自由度
- 品質
- 工期
- 保証・アフターサービス
- 経営の安定性
工務店とハウスメーカーのメリット・デメリットや選び方も合わせて解説します。
この記事を読めば、工務店とハウスメーカーの違いがわかり、価値観やライフスタイルに合った住宅会社を選べるようになります。
【徹底比較】工務店とハウスメーカーの違い7選

工務店とハウスメーカーの主な違いを7つのポイントで比較します。
項目 | 工務店 | ハウスメーカー |
対応エリア | 地域密着 | 全国対応 |
価格 | 安い | 高い |
自由度 | 高い | 低い |
品質 | 会社による | 安定 |
工期 | 長い | 短い |
保証 | 会社による | 充実 |
経営 | 不安定 | 安定 |
それぞれ詳しく解説します。
対応エリア

項目 | 工務店 | ハウスメーカー |
対応エリア | 地域密着 | 全国対応 |
工務店
工務店は特定の地域に根ざして活動する地域密着型です。施工エリアは市区町村単位や県内など限定的です。土地の気候風土、日当たりや風の通り道を熟知しています。法規制にも詳しいです。
土地の特性を最大限に活かした設計や、近隣住民への配慮など、きめ細やかな対応が強みです。
ハウスメーカー
ハウスメーカーは全国に支店や営業所を持ち、広範囲のエリアに対応しているのが特徴です。どこに住んでいても同じようなサービスを受けやすいです。
転勤の可能性がある方や、現在住んでいる場所から離れた土地に家を建てる場合でも相談しやすいでしょう。
価格

項目 | 工務店 | ハウスメーカー |
価格 | 安い | 高い |
工務店
工務店は大規模な広告やモデルハウスを持たない会社が多いです。間接的な経費が少ないため、建築価格を抑えやすいです。同じ仕様やグレードの家であれば、ハウスメーカーよりも低い価格で家を建てられます。
ただし、工務店の価格は、使用する木材や建材のグレード、依頼する職人の技術料などによって変動します。見積もりも詳細な項目ごとに出される場合が多く、どこに費用がかかっているかが分かりやすいです。
オーダーメイドでとことんこだわれば、価格は高くなるでしょう。
ハウスメーカー
ハウスメーカーの建築価格は高くなる傾向があります。建材や人件費などの費用だけではなく、下記の費用もかかるためです。
- テレビCMなどの大規模な広告宣伝費
- 豪華なモデルハウスの建設・維持費
- 新技術の研究開発費など
上記の費用が価格に反映されるため、坪単価や総額は高めになります。部材の大量生産や一括仕入れによってコストダウンを図っていますが、工務店と比べると高いです。
「坪単価〇〇万円」には注意してください。建物の本体工事費のみしか含まれていない場合が多いです。屋外給排水工事や外構工事などの付帯工事費、ローン手数料や登記費用などの諸経費が入っていません。契約後に費用が大きく増える可能性が高いため、注意しましょう。
設計の自由度

項目 | 工務店 | ハウスメーカー |
自由度 | 高い | 低い |
工務店
工務店は設計の自由度が高いです。施主の要望に合わせて一から設計する自由設計に対応している場合が多いです。間取りやデザイン、素材選びまで、こだわって家づくりを進められます。
ハウスメーカー
ハウスメーカーは、用意されたプランや仕様の中から選んでいく規格住宅やセミオーダー住宅が中心です。安定した品質や、工期の短縮を優先しており、設計の自由度は低いです。
特別な要望には対応が難しかったり、高額なオプション費用が必要になったりする場合があります。
品質

項目 | 工務店 | ハウスメーカー |
品質 | 会社による | 安定 |
工務店
工務店の品質は、依頼する会社や担当する職人の技術力によってまちまちです。信頼できる会社を見極めるのが大切です。
優良な工務店に依頼できれば、快適で住みやすい家を建てられます。
ハウスメーカー
ハウスメーカーは、部材を自社工場で生産します。現場での組み立て作業をマニュアル化して、品質を安定させています。
どの地域で、どの職人が建てても、安定した品質の家が建てられるでしょう。
工期

項目 | 工務店 | ハウスメーカー |
工期 | 長い | 短い |
工務店
工務店は、施主との打ち合わせを重ねながら一から設計を進めるため、設計に半年以上かかる場合もあります。現場での手作業も多いです。工事する工期も長くなり、着工から完成までに、6~8ヶ月程度です。
工期が長いので、家づくりにじっくりと向き合えます。現場での進み具合を見ながら、細かい変更の相談ができます。
ハウスメーカー
ハウスメーカーは、工期が比較的短い傾向にあります。設計がマニュアル化されており、打ち合わせがスムーズに進むからです。部材も工場であらかじめプレカットされているため、現場での加工作業が少なく、効率的に組み立てが進みます。
着工から完成までの目安は、一般的に3~4ヶ月程度です。入居時期が決まっている方や、仮住まいの家賃を抑えたい方には大きなメリットです。
保証・アフターサービス

項目 | 工務店 | ハウスメーカー |
保証 | 会社による | 充実 |
工務店
住宅会社は、下記2つの10年間の保証が法律で義務付けられています。
- 構造耐力上主要な部分
- 雨水の浸入を防止する部分
義務以外の保証内容は、工務店によってさまざまです。地域密着であるため、気軽に相談しやすく、マニュアル通りではない柔軟な対応をしている場合が多いです。保証内容については、契約前に書面でしっかりと確認しましょう。
ハウスメーカー
ハウスメーカーは、大手ならではの充実した保証・アフターサービス体制があります。法律で定められた10年間の保証に加え、最長60年などの長期保証をしているハウスメーカーもあります。
定期的な無料点検を提供している会社が多く、長く安心して暮らせるでしょう。
ただし、長期保証を延長するには、条件が付いている場合が多いです。10年ごとにハウスメーカーを通して有償メンテナンスを受けるなどの条件です。保証を維持する費用も考慮に入れましょう。
経営の安定性

項目 | 工務店 | ハウスメーカー |
経営 | 不安定 | 安定 |
工務店
工務店は中小規模の会社が多いため、ハウスメーカーと比較すると経営の安定性は低いです。倒産のリスクは高くなります。
工務店が倒産リスクに備えるための保険があります。工事の完成を保証する住宅完成保証制度です。住宅完成保証制度は工務店が任意で加入します。もしもの際には手付金が返ってきたり、代替の工務店を探すサポートを受けられたりします。
工務店を選ぶ際は、契約前に住宅完成保証制度に加入しているか確認しましょう。
ハウスメーカー
ハウスメーカーは資本力の大きな大手企業が多いです。経営基盤は安定しており、倒産のリスクは比較的低いです。着工から完成、入居後の長期保証期間まで続く関係では、大きな安心材料になります。
ただし、お住まいの地域にあった支店が撤退して、アフターサービスが受けられなくなるリスクはあります。
工務店とハウスメーカーの特徴

工務店とハウスメーカーは家を建てる会社ですが、法律で定められた定義はありません。会社の事業規模、営業エリア、提供している住宅プランなどによってわけられています。
工務店の特徴

工務店は、地域に根ざして活動している地域密着型で、比較的小規模な会社を指すのが一般的です。設計の自由度が高く、施主一人ひとりの要望に合わせたオーダーメイドの家づくりが得意です。
広告宣伝費などの間接経費が少ないため、コストパフォーマンスが良い傾向にあります。土地の気候風土を熟知しており、地域に馴染む家づくりを提案してくれます。社長や設計士など、担当者と直接密なコミュニケーションを取りながら、二人三脚で家づくりを進められる点も魅力です。
ただし、品質は会社や職人の技術力によります。信頼できる会社選びが重要であり、オーダーメイドであるため、工期は長くなります。
工務店の種類

工務店にも下記の3種類があります。
地域密着型工務店
小規模で昔ながらの工務店です。社長自らが設計や現場管理まで行う場合もあり、アットホームな雰囲気があります。施主の要望を直接社長に伝えられるため、想いを形にしやすいです。工務店の価値観やデザインに共感できると、良い関係を築けるでしょう。
フランチャイズ加盟工務店
大手ハウスメーカーなどが開発した工法や商品を取り扱う工務店です。本部のブランド力やノウハウを活用できる安心感と、地域工務店ならではの柔軟な対応を併せ持ちます。資材の一括仕入れでコストを抑えられる場合もあります。
ビルダー
同一都道府県内だけでなく、複数の都道府県に拠点を持ち、年間数十棟から数百棟を手がける大規模な工務店です。モデルハウスを持つなど、ハウスメーカーに近い営業スタイルをとります。工務店の設計力とハウスメーカーの組織力を兼ね備えています。
ハウスメーカーの特徴

ハウスメーカーは、全国規模で家を建てている大規模な住宅会社です。自社のブランドを持ち、テレビCMや住宅展示場を使って、自社の住宅を宣伝しています。
ハウスメーカーの住宅は、規格化されたプランです。部材を工場で生産し、施工手順をシステム化しています。安定した品質の住宅を、比較的短い工期で建てられます。
ハウスメーカーは研究開発にも力を入れています。オリジナルの耐震技術や省エネ技術、最新の設備などを取り入れた高性能な住宅を建てられるのも魅力です。長期保証など、充実したアフターサービスも強みです。
工務店のメリット・デメリット

工務店の3つのメリットと、2つのデメリットを解説します。
工務店のメリット3選

工務店は設計の自由度が高く、建築費用が抑えやすいです。小規模なため、社長と話せる機会が多いため、想いが伝わりやすいです。
設計の自由度が高い
間取りやデザイン、素材に至るまで、下記のような細かい要望に応えてもらいやすいです。
- 趣味の自転車を飾るための広い土間が欲しい
- ペットが快適に過ごせる特別な動線を作りたいなど
世界に一つだけの、こだわりの家が建てられます。

我が家は、ハウスメーカーで断られた間取りも、工務店なら実現できました。
建築費用を抑えやすい
ハウスメーカーに比べて広告宣伝費などの間接経費が少ないです。費用を抑えやすい傾向があります。コストパフォーマンスの高い家づくりができます。
浮いた予算を、キッチンや無垢材の床など、こだわりたい部分に使えるでしょう。

我が家の見積もりは、ハウスメーカーが標準仕様で5,000万円でした。工務店は要望を全部詰め込んでも、5,000万円はかかりませんでした。
想いが伝わりやすい
社長や設計士とじっくり話す機会が多く、あなたの家づくりへの想いが伝わりやすいです。二人三脚で家づくりを進められると、大きな満足感や達成感にもつながります。

工務店の社長やスタッフとは、設計を頼む前に何度も会って話しました。設計が始まる前に価値観を共有しておくと、打合せもスムーズになります。
工務店のデメリット2選

工務店が優良かどうかは、自分で判断しなければなりません。工期も長いです。
優良な工務店か自分で判断しなければならない
品質が会社や職人の腕に左右されるため、自分自身で優良な工務店か見極めなければなりません。施工事例を詳しく見たり、見学会に参加したりといった手間がかかります。

社長ともじっくりと話して、家づくりの価値観が合うか見極めましょう。
工務店の見極め方は、【注文住宅】優良工務店の探し方と見極め方を解説!我が家の選定基準も紹介をご覧ください。
工期が長い
オーダーメイドのため、設計の打ち合わせに時間がかかります。棟梁が一人でつくる場合もあり、工事期間も長いです。
賃貸から退去する時期が決まっている方や、急いで引っ越ししたい方にはデメリットです。

我が家は時間に余裕があったので、設計に8ヵ月かけました。工事は10か月かかりました。
ハウスメーカーのメリット・デメリット

ハウスメーカーの2つのメリットと、3つのデメリットを解説します。
ハウスメーカーのメリット2選

ハウスメーカーで家を建てると、品質が安定します。打合せや工事がマニュアル化されているため、工期が短いです。
安定した品質の家が建つ
ハウスメーカーの家づくりは、全国でマニュアル化されています。住宅の専門知識に自信がなくても、安定した品質の家が建つため、大きな失敗をする心配が少ないです。初めての家づくりでも、安心して進められます。
工期が短い
ハウスメーカーは、プランがある程度決まっています。打ち合わせがスムーズで、工事も完成までの期間が短いです。仕事や子育てで忙しい方でも、効率的に家づくりを進められます。
ハウスメーカーのデメリット3選

建築以外の費用を払う可能性がある
ハウスメーカーの建築費用には、テレビCMや住宅展示場の費用も含まれています。家ではない部分にコストがかかっているのを、納得できるかどうかがポイントです。
設計の自由度が低い
規格化されているため、下記のようなこだわりがルール上できない場合があります。
- 壁をあと少しだけ動かしたい
- このメーカーのキッチンが使いたいなど
妥協点を探る作業に、もどかしさを感じる場合もあります。
担当者が変わる可能性がある
ハウスメーカーで働いているのは会社員です。全国に支店があるため、転勤があります。年度をまたいで打合せや工事をしているときは、担当者が変わる場合もあります。
引継ぎはしてくれるでしょうが、細かな想いやニュアンスが次の担当者に正確に伝わらない可能性もあります。

我が家もハウスメーカーとの打合せ中に、設計担当者が変わりました。
工務店とハウスメーカーの選び方

工務店かハウスメーカーを選ぶときの判断基準を解説します。家づくりで何を重視するか、優先順位を決めるのが大切です。
工務店がおすすめな人

工務店がおすすめなのは、下記の人です。
- 間取り、デザイン、素材など、細部までこだわり抜いた設計の自由度を重視する人
- できるだけ建築コストを抑えたい、コストパフォーマンスを重視する人
- 建築会社の担当者と直接、密にコミュニケーションを取りながら、二人三脚で家づくりを進めたい人
- 変形地や狭小地など、特殊な敷地条件に合わせた柔軟な対応が必要な人
- 土地の気候風土をよく理解した、地域ならではの家づくりを望む人
- 家づくりに時間をかけられる、工期に比較的余裕がある人
ハウスメーカーがおすすめな人

ハウスメーカーがおすすめなのは、下記の人です。
- ブランドの知名度や企業の安定性による安心感を最優先したい人
- どこで建てても一定水準以上の品質の安定性を求める人
- 入居時期が決まっているなど工期の短さを重視する人
- 手厚い長期保証やアフターサービスを必須と考える人
- 家づくりにあまり手間をかけたくなく、用意されたプランから選びたい人
- 最新の住宅技術や設備に関心が高い人
住宅会社選びで失敗しないためのチェックポイント

住宅会社選びで失敗しないために、複数社を比較して、実績や評判を調べましょう。実際に建てた家を見学するのも大切です。
担当者との相性を見極めて、保証やアフターサービスの確認も忘れないでください。
複数社を比較

最初から1社に絞らず、必ず複数のハウスメーカーや工務店から話を聞き、提案や見積もりを比較検討しましょう。
工務店は会社ごとに得意分野が違うため、2〜3社を比較すると、自分たちに合った会社が見つかりやすくなります。
実績や評判を調べる

会社のWebサイトで過去の施工事例をチェックしましょう。写真のデザインだけでなく、どのようなコンセプトで、施主のどんな要望を形にしたのかまで理解すると、実力が見えてきます。
インターネット上の口コミや、地域での評判も重要な情報源です。
建てた家を見る

図面やカタログだけでは分からない空間の広がりや素材の質感などを、自分の目で確かめましょう。モデルハウスはもちろん、実際に人が住む予定の家を見学できる完成見学会にも積極的に参加してください。
家が完成したら隠れる部分の構造を見学できる、構造見学会などにも積極的に足を運びましょう。構造見学会を開催しているのは、隠れる部分にも自信があるからです。優良工務店かどうかの見極めにもなります。
担当者との相性

家づくりの担当者とは、長い付き合いになります。打ち合わせを通して、知識や経験、提案力を確かめましょう。
この人になら大切な家を任せられると思える人柄で、コミュニケーションがスムーズに取れるかを見極めてください。
保証・アフターサービス確認

法律で定められた10年間の保証は義務です。義務の保証以外に、下記の保証があるか契約前に書面で確認しましょう。
- 会社独自の保証内容
- 定期点検の有無と頻度
- 緊急時のサポート体制など
コストを意識

家を建てるときにかかる初期費用だけでなく、下記のような入居後にかかる維持費用も考慮に入れましょう。初期費用をイニシャルコスト、維持費等をランニングコストと言います。
- 毎月かかる水道光熱費
- 将来的な外壁の塗り替えなどのメンテナンス費用
断熱性や設備の性能は、ランニングコストに大きく影響します。トータルでかかる費用(ライフサイクルコスト)で考えましょう。
まとめ:自分に合った依頼先を見つけて理想の家づくりを
ハウスメーカーと工務店には、それぞれにメリット・デメリットがあり、どちらかが優れているわけではありません。
自分たちの家づくりにおける優先順位を明確にするのが大切です。デザイン、価格、安心感、担当者との相性など、何を一番大切にしたいかを家族で話し合ってみましょう。
優先順位が決まれば、自然と工務店とハウスメーカーのどちらが自分に合っているかが見えてきます。情報収集と比較検討をじっくりと行い、信頼できるパートナーを見つけてください。
これから家づくりを始める方に読んで欲しい記事です。

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