【注文住宅】工事請負契約とは?流れは?契約を急かす工務店は要注意!
理想の家のイメージは膨らんでも、いざ契約となると、
- 契約って何をするの?
- 流れが複雑そう
- 契約書なんて読んでもわからない
と不安になっていませんか?
工事請負契約は家を建てる上でとても大事なステップです。
不安や疑問を抱えたままの契約は、絶対にダメです。
この記事を読み、契約についてよく理解して、結ぶようにしてください。
確認ポイントについても解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。
工事請負契約とは?
工事請負契約って聞いたことありますか?
建設業に関わったことのない方には、聞き慣れない言葉だと思います。
法律的にも、工事請負契約は民法第632条で以下のように定義されています。
つまり、
- 工務店は、施主の希望する家を完成させる義務を負う
- 施主は完成した家に対して、 契約で決められた金額を支払う義務を負う
という双方の責任と権利を、明確にするための契約です。
工事請負契約は施主と工務店にとって、安心して家づくりを進めるための重要な契約です。
内容をしっかりと理解し、納得した上で契約しましょう。
工事請負契約の役割
工事請負契約の役割について、より具体的に解説します。
ちょっと難しい話になるので、詳しく解説します。
法的に保護
工事請負契約は、単なる約束事をまとめた紙切れではなく、
法律によって認められた、施主と工務店にとっての権利と義務を明確にする強力な法的拘束力を持つ契約
です。
万が一トラブルが発生した場合、法的根拠に基づいて解決するためにも重要です。
日本の法律では、工事請負契約は民法という法律で定められています。
特に、
- 第632条(請負の定義)
- 第633条(仕事の完成)
- 第634条(報酬の支払い)
などが、工事請負契約の基本原則を定めています。
これらの条文に基づき、工事請負契約は、施主と工務店双方にとって、法的拘束力を持つものとして認められます。
たとえば、
工務店が工事請負契約の内容に違反し、 約束の期日までに工事を完了できなかった
とします。
このとき施主は、民法第636条(履行遅滞)に基づき、
ことができます。
逆に、施主が正当な理由なく工事の着手を受け入れない場合、工務店は民法第536条(債務不履行)に基づき、
ことができます。
工事請負契約は、施主と工務店双方にとって、安心して家づくりを進めるための、法的な裏付けを持った契約です。
トラブルが発生した場合でも、感情的ではなく法的根拠に基づいた冷静な対応が可能になります。
トラブルを防ぐ
工事請負契約は、工事中だけでなく、家が完成した後のトラブルを防ぐという役割があります。
曖昧な口約束ではなく、契約書という明確な文書で約束しておくことで、施主と工務店にとって、安心して家づくりを進められます。
公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センターの「住宅相談統計年報 2023」によると、
- 新築等住宅に関する相談は年々増加傾向
- 2022年度の相談件数は、23,529件
- 相談件数は約10年間で、1.5倍
となっており、トラブル相談は後を絶ちません。
トラブルが発生した場合、口約束だけでは「言った、言わない」の水掛け論になる可能性が高いです。
お互い納得した内容の契約書を残して、トラブルを事前に防ぐことが重要です。
たとえば、契約書に
と明記されていたとします。
そうすれば、施主は地盤改良の費用を把握し、あらかじめ予算を確保できます。
もし、この記載がなく後から百万単位の追加費用を請求された場合、トラブルに発展する可能性も出てきます。
また、
のようなことが発生した場合も、契約書に明記していれば、トラブルへの発展を防げます。
工事請負契約は、家づくりにおける様々なトラブルを未然に防ぎ、施主と工務店双方にとって、安心・安全な家づくりを進めるための重要な役割を担っています。
「面倒だから」「よくわからないから」と安易に考えてはいけません。
契約内容をしっかりと理解し、納得した上で署名・捺印をするようにしましょう。
契約の流れ
注文住宅の契約は、一般的に
の順番で行います。
ただし、工務店によって順番が前後することがあります。
あくまで参考程度にしてください。
間取り・仮見積の作成
候補の工務店に間取りの作成を依頼します。
間取りがある程度できたら、仮見積をもらいます。
間取りしか決めていませんので、見積も仮ということです。
間取りと仮見積で比較して、工務店を1社に決めます。
我が家は間取りのみで比較しました。
間取りだけで、工務店の実力は十分わかります。
候補の工務店が決まってない方は、【注文住宅】いい工務店の探し方と見極め方!我が家の選定基準も紹介も併せてご覧ください。
仮契約
家を建てる工務店を決めたら、具体的なプランニングをする前に仮契約を結びます。
実のところ、民法上は仮契約というものはありません。
「施主の意思確認」という意味合いで、工事請負契約の前に結びます。
仮契約では申込金の支払いが発生するので、現金の準備が必要です。
工務店によって申込金の金額は様々ですが、10万円程度の場合が多いです。
仮契約後にキャンセルした場合、
- 申込金が返却されるのか
- 返却される場合はいつまでのキャンセルで適用されるのか
- 契約した際は建築費用に充当されるのか
などの条件を確認しましょう。
仮契約といっても、仮契約の書面に記載されている内容は法的効力が発生します。
仮だからといって安易にサインをせず、不明な点があれば担当者にしっかり確認しましょう。
我が家、仮契約はしていません。
「あなたのとこで家を建てる」と社長に伝えて、そのままプランニングに進みました。
プランニング
仮契約を結んだら、プランニングに進みます。
仮契約後でも、間取りは変更できる会社が多いです。
仮契約時にしっかりと契約内容を確認しておいてください。
プランに納得できるまで、打合せしましょう。
プランニングが終わったら、一度見積をもらいましょう。
予算をオーバーしていた場合は、再検討が必要です。
プランニングの詳細については、【注文住宅】プランニングとは?流れとプラン確認のポイントを解説!をご覧ください。
詳細仕様を決め、本見積
納得できるプランが出来たら、詳細な仕様を決めます。
- 床材
- 内壁
- 照明
などなど多くのことを決めます。
仕様がすべて決まったら、本見積をもらいます。
予算内に収まっているか確認しましょう。
工事請負契約
間取りが決まり、本見積りが出来たら、工務店と工事請負契約を結びます。
契約書には、
- 発注者、請負者の氏名
- 工事内容、金額や期間
- 支払い方法、引き渡しの時期
など、重要なことが記載されています。
契約書はどの項目もとても大切で、見落とすことがないよう注意が必要です。
サインをする前にコピーを持ち帰って、しっかりと内容を確認するのをおすすめします。
我が家も持ち帰って、書類を熟読しました。
本契約では手付金として建築費の10%程度を支払います。
もし契約後にキャンセルしたら、手付金は返ってきませんのでご注意ください。
契約を急かす工務店には要注意!
- 今すぐ契約すれば大幅値引き!
- このキャンペーンは今月末まで!
などの、魅力的な言葉で契約を急かす住宅会社には要注意が必要です。
住宅建築は、数百万円、数千万円という高額な取引です。
悪質な工務店は、お客さんの不安や焦りを利用し、じっくり考える間もなく契約させます。
たとえば、
- すべて標準仕様で契約。希望の設備が予算オーバーで叶わなかった。
- 契約後に担当の態度が急変。打合せも適当になり、希望の叶わない家づくりとなった。
といったことが考えられます。
契約を急ぐ工務店は、自分たちのことしか考えていません。
に必死になっており、施主の方を向いて仕事をしていません。
施主に寄り添って家づくりをしているのなら、
契約の話に進みます。
悪質な工務店に騙されないように、じっくりと考えてから契約しましょう。
人気の工務店では例外もある
人気のいい工務店では、すべての仕様を決める前に契約に進む場合もあります。
質のいい家を丁寧に建てるので、
人気の工務店なので、年間の枠はすぐに埋まります。
枠にエントリーするために、契約をするということです。
契約をしていないお客さんを、工事のスケジュールに入れるわけにはいきません。
工事開始の直前に
なんて言われたら、計り知れない損失が発生しますから。
施主目線でも、
となる可能性もあります。
この場合の早めの契約は、施主にも工務店にも利点があります。
信頼できるいい工務店を選べているなら、信用して契約しましょう。
ただし、間取りや住宅設備が確定している場合のみです。
気を付けましょう。
我が家もエントリーするために、すべてが決まる前に契約しました。
もちろん、間取りと住宅設備を確定したあとです。
契約前の確認ポイント
契約前に、契約内容についてじっくりと確認しましょう。
後々のトラブルや後悔を避けるために非常に重要です。
確認ポイントは、以下の5つです。
地盤調査の確認
地盤調査をして軟弱地盤だった場合は、地盤改良工事が必要になります。
地盤改良工事の費用は、100万円前後です。
契約後に追加費用となると、苦しい金額です。
契約前に地盤調査を行って、地盤改良工事費を予算に組み込みしましょう。
見積書の総額確認
注文住宅の見積書には、
- 本体工事費
- 付帯工事費
- 諸費用
など、様々な費用が含まれています。
見積書の内容をしっかりと理解し、抜け漏れがないか、総額でいくらになるのかを確認しましょう。
とくに、「諸費用」の中には、
- 登記費用
- 住宅ローン借入のための費用
など、意外と高額になる項目も含まれています。
事前に確認しておかないと、予算オーバーになってしまうので注意が必要です。
工事スケジュールの確認
多くの人は賃貸暮らしだと思います。
工事のスケジュールを確認して、引っ越しの予定を組んでおきましょう。
もし、当初の予定より遅れそうな場合は、早めに教えてもらってください。
工事が遅れると、引っ越しのスケジュールもずれますから。
ただし、「絶対に遅延は許さない」というスタンスはおすすめしません。
工期を守るあまり、手抜きになって質の悪い家になったら嫌ですよね?
それなら多少遅れても、丁寧に作ってもらう方がいいです。
設計図書と仕様の最終確認
設計図書や仕様書は、工務店と施主で、
を記録したものです。
設計図書や仕様書に沿って、家が建てられます。
打合せで決めた内容と違うところがあれば、修正してもらうようにしましょう。
外構工事の予算確保
見積書の中に、外構工事の予算が計上されているか、確認しましょう。
外構工事は、家が完成した後に着手です。
家がもうすぐ完成というときに打合せが始まる、ゆったりとしたスケジュールとなります。
庭の広さは分かっていると思うので、そこから概算費用を出してもらって、資金計画に入れておきましょう。
入れ忘れていて予算が足りなくなると、庭を自前でやらないといけなくなるので、かなりしんどいです。
まとめ:注文住宅の契約は慎重に!
注文住宅を建てる際、施主と工務店との間で結ぶのが「工事請負契約」です。
工事請負契約の流れは以下の通り。
契約後は簡単に工務店を変えられません。
慎重に、じっくりと考えてください。
契約する書類が出てきたらよく確認しましょう。
不明な点があれば、遠慮なく工務店に質問し、納得した上で契約を結ぶように心がけましょう。
家づくりは、施主と工務店の信頼関係の上に成り立ちます。
安心して家づくりを進めるためにも、工事請負契約の重要性を理解しておきましょう。